絶望を載せたピックアップ
どうなるか不安で仕方ない僕だったが、言われるがまま、荷台へと乗り込んだ。
僕と、黒服の男、そして、またしても酔っ払いのインディアン、3人での短い旅が始まった。
当然のごとく、新しい方のインディアンが話かけてくる。どこから来た、何してる、云々の常套句だ。
彼は片手に何やらビンを持っていて、そのビンの中には得体の知れない液体が入っている。ウイスキーではなく、多分ビールのような感じだが、パッと見たところ、お酒であるのは明白だった。
タバコを勧めると、喜んで吸い始め、自分のことを訥々と語り始めた。
そんな時、道路沿いにヒッチハイクするネイティヴアメリカンの若者がいた。こいつも明らかに酔っている。そして、Tシャツからジーンズまで嘔吐物にまみれていた。
荷台に乗り込んだ酔っ払いの若者は瞬く間に眠りこけた。ひどい有様だった。
ビール瓶の男に聞いてみる。
「彼はあんなに若いのに、どうしてあんなにボロボロなんだ?」
彼は言う。「俺たちのところじゃ、みんなああだ。他にすることもないしな。」
「俺もあいつぐらいの時に、希望に満ちて街に出たよ。ロサンゼルスさ。グレイハウンドに乗ってね。何でもやったよ。皿洗いからなにからな。でも、すぐクビだ。差別もひどい。何年か働いてリザベーションに戻ってきた。そん時に俺の手の中にあった金は、グレイハウンド片道切符分だけ、それだけだった。」
若者の方に目を向けた彼が続けた。
「あいつもきっと同じだ。リザベーションにいる奴らはみんなそんな感じだよ。」
絶望を荷台に乗せたピックアップは、目的地に向かいスピードを上げ、砂漠の真ん中を走っていく。