オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 3 帝国の緩やかな黄昏 オリバー・ストーン
全3巻、かなりボリュームのある本だが、そろそろ読み終える。
全て読み終えてから、書評をと、思っていたが、備忘録として、今、気がついたことを書いておく。
まず、この本に書かれていることが、全て真実であるかどうかは、検証することができない。ただ、随所に辻褄の合うところが多く、大まかには、信用できるものとして読み進めていったことを、言っておきたい。
本書は、現代史として、歴代大統領が何をしてきたのかを明らかにしたものであるが、表題の「Untold」が示すように、そのほとんどが、これまでメディアには表出してこなかった。そこに、大統領を動かしてきた、ホワイトハウスがどんな人間達によって固められているかが見え隠れする。
つまり、アメリカという国が、国益のためにではなく、ホワイトハウスに巣食う人間達が自分たちの利益を求めて、動かしてきた歴史ーそれがアメリカ史であり、すなわち世界史なのだ。
そこには、真に文化的な人間の営みとは思えない、残虐な行為が随所にあり、吐き気すら催す、まさしく悪の所行のオンパレードである。
その悪行は、縮小した形跡もなく、アメリカの国防費の増加に伴い、エスカレートしてきた。
それも、あからさまに民意を無視した形で進めたのは、おそらく、ブッシュだろう。
そのブッシュを模倣したような動きをみせているのが、安倍晋三である。
米国愛国者法は、日本における秘密保全法
そっくりだ。
また、富裕層に有利な税制改正、憲法改正と集団的自衛権の拡大解釈、仮想敵に対する軍備の拡大など、この日本の筋書きは、ホワイトハウスで書かれたのではないかと思うほど、酷似している。
そうすると、この先にある日本の未来は、予測可能と言えるのではないか。多くの犠牲を伴いながら、進む格差社会。1%の富裕層と99%の貧困層。民意の反映されない帝国主義による、中東における戦争への参加。
それは、深い深い闇が広がる、不安に満ちた未来なのである。