イチゴの味のヨーグルト

そのヨーグルトを宅配してもらうようになって、何ヶ月か経った。

しばらくコンビニで買って食べていたのだが、店頭には並んでいない「イチゴ味」がいまだ現存していることを知り、懐かしくてどうしても食べたくなったことが発端だ。

調べてみると、街でよく見かける制服を着て原付バイクに乗っている女性が自宅まで運んでくれるシステムを利用すれば、またあの味にたどり着けるということだったので、頼んでみることにした。こういう時にインターネットというのは実に便利だ。

玄関先で直接受け取るのもなんだか億劫だなと思っていたら、簡易クーラーを介しての受け渡しもあるという。無理に笑顔を作ったり作られたりする面倒が省けるのでそうしてもらうことにした。

届いたのは、緑色の蓋のついた角のないクリーム色の簡易クーラー。主張しないように考えられたのかもしれないが、妙にぼやけた色、形が、むしろ、際立ってしまって、風景と全くマッチしない。まあでも、仕方あるまい。

一週間に一度、決まった曜日に7個。3種類の味が混ざって届く。「イチゴ味」はそのうち2個だ。

しかし、それはそれで厄介で、クーラーをうっかり玄関先に出しておくことを忘れてしまったりして、スムーズには行かない。それでも、そのヨーグルト自体は好きだし、子供の時代を思い出すようで、飽きもせず毎日食べている。

ヨーグルトが体に良いとか悪いとかそういうことはどうでもいい。

早朝、家を出る前に一つ。蓋の裏側についたのもしっかり舐めて、キレイに食べてから出かける。あれは不思議だが、味によって、蓋についたりつかなかったりするんだ。同じ味のものにほぼ個体差はないのに。どういうことだかいつか突き止めなくてはならない。

そうそう、一日に二つ以上食べてはならないという独自のルールがある。実はそのせいで、何度かこの周期を繰り返すうちに余りが出て、冷蔵庫のストックは二つになってしまった。

一日一つルールを特に誰かに宣言したわけではないから、破っても良いのだろうけど、こういう性分がそれを許さない。そういうものが僕には他にいくつもある。何かをするときの順番とか、あげるとキリがない。ルーティンみたいなものだ。それなのにクーラーを出すのは忘れる。どういう訳なんだろう。

あのクーラーの形や色や存在感が、どうしても嫌だからかもしれない。あれをデザインして採用したやつの気が知れない。まだ昔の牛乳箱の方が魅力的だ。黄色くて赤い字で玄関や門にくくりつけてあった斜めの蓋のあれだ。あの蓋を開けるときの高揚感が良い。当然入ってるんだけど、もしかしたら入ってないかもしれないと想像するあのひと時が。あれが良い。

こんな風に最近すぐ感傷的になる。50を過ぎてから余計にそうだ。イチゴ味のヨーグルトも小学生のとき、お婆ちゃんがよく買ってくれたものだ。

真っ赤な彼岸花が風に揺れている。

もうすぐお婆ちゃんの命日だな。

お墓参りに行かなくちゃな。

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